株式会社山儀製材所(輪島市堀町)

「暴れる」難しさ

山儀製材 山力(やま・つとむ)さんに能登ヒバ材振興の取り組みと、普段のお仕事についてインタビューしました。


――はじめに、山さんはどのようなお仕事をされているか教えてください
山力
(以下、山):当社は製材所として昭和38年に創業しました。製材所というのは大雑把に言えば丸い木を四角くするという仕事です。うちでは住宅の土台や柱などの構造材はもちろんですが、引き合いがあれば内装の羽目板や斜面の土留めにつかう土木材なども手掛けています。寸法通りの木材を切り出すプレカット工場を持っているわけではないのですが、それ以外なら木材加工は本当になんでもという感じでやってます。


――山さんにとって能登ヒバとはどのような木でしょうか
:もともと能登にはヒノキがほとんど生えてなかったので、建物の土台に使う丈夫な木としてこのあたりで唯一の存在でしょう。一般に木材は樹皮に近い少し白みがかっている部分を白太、中心部に近い部分を赤太と呼びます。赤太のほうが硬くて水分が少ないのですが、能登ヒバはこの赤太の部分が多いので腐りにくいです。水回りに強いから台所によく使っています。虫に食われにくいとも言われていますね。能登ヒバの赤太はシロアリもちょっとかじって逃げてしまうと聞いたことがありますし、新築直後は蚊が寄ってこないなんて言っている人もいました。


――丈夫な反面、扱いが難しい木とも聞きます
:そうですね、製材所で扱うときにはやっぱり「暴れる」木なので難しさがあります。能登ヒバは旋回しながら育つなんて言われますが、中の木目がねじれながら伸びていくんです。これを業界では暴れるって言いますね。ただカットするだけじゃ使っている間に反ってしまうことがあります。ねじれているせいで木目をきれいに出すのが難しいということもあります。成長が早い木ならすぐに剥がれ落ちてあまり残らない枝の節なども時間をかけて木材の内側に巻き込んでしまうので節の少ない材を得るのは大変です。やはりきれいな木材を望むお客様が多いですからね。

もっと気軽に能登ヒバを


――山儀さんの能登ヒバの取り扱い状況はどうでしょうか
:昔はもうそれしかないという感じで家を立てるときには必ず引き合いがありました。多いときは取扱量の4割くらいを占めていましたね。以前は家を立てるのに必要な木材をまとめてセット売りしていたので多かったのですが、今は受注も少しずつなので扱う量は減ったなという印象です。前述のように丈夫な木としてはこのあたりで唯一の存在で、輸入材が人気になる前は富山でも引き合いがありました。今は大工や工務店さん、問屋さんからの注文がメインです。家を建てる人が能登ヒバでとお願いすることもあるでしょうし、工務店さんが提案して能登ヒバを使おうとなっていることもあるかもしれません。なるべくお客様の思いに応えられるような木材を出せるようにがんばっています。


――取り扱う上での課題はどんなところでしょうか
:能登ヒバは震災の影響もあって供給量が少ないところが弱点になっています。良い原木はなかなか市場に出ませんし、大口の注文だと生産者と直接取引になってしまうことも多いです。地元の製材所にも安定して入ってくるような仕組みを作りたいですね。


――能登ヒバを使う人へのメッセージはありますか?
:難しい質問ですね(笑)。もっと気軽に使ってほしいなとは思います。目立つところに使いたいというこだわりは良いのですが、そればかりになってしまうと見栄えを整えるためのコストが上がって生産者や製材所も無理をすることになるのでかえって業界を苦しめてしまうと思っています。さっき能登ヒバは土台に向いていると言いましたが、土台なら木目の美しさも気にしないでよいわけですよね。それに腐りにくいという特徴は間違いがないわけです。だから求められる部分にごく普通に能登ヒバを使う人が増えてほしいなと思います。私も今から家を建てるなら土台や柱には絶対に能登ヒバを使いたいですからね。


――本日はありがとうございました。