NEW RESEARCH

新たな活用研究

音楽分野

  • 楽器素材としての応用:石川県企業フルタニランバーによる「ATENOTE」プロジェクトでは、県木・能登ヒバを用いたギターや二胡、ヴァイオリン、太鼓などの製作を進めています。演奏者の評価では、ギターは中音域に豊かな響きと独特の生鳴りがあり、圧縮加工したヒバ材のネックは硬度・耐久性を向上させる特殊素材であることが示されています。太鼓でも立ち上がりが良く硬質な音が、ヴァイオリンは遠くまでよく響く特徴が報告されています。
  • 新音響デバイス:北陸最先端音響工学研究所(北陸大学)では能登ヒバ材を筐体に用いたスピーカーを開発し、従来にはない音響特性を実現しました。将来的には複数ユニットを組み合わせたマルチアンプシステムで、その音響的魅力を広げる計画です。
  • 心理的効果:木材由来の自然な音色や香りは、演奏者・聴衆への心理的効果も期待されます。例えばヒバを含む針葉樹の香りには集中力向上やストレス低減作用が示唆されており、木の温もりある音響空間はリラックス効果ももたらすと考えられています。

医療分野

  • 抗菌・抗ウイルス性の研究:能登ヒバの主成分ヒノキチオールには強い抗菌力・殺菌力があり、石川県試験場の研究では未加工ヒバ材でもインフルエンザウイルスやヒトコロナウイルスを99%以上不活化できることが示されました。大腸菌やMRSA(院内感染菌)など各種病原菌にも有効性が確認されています。
  • 臨床・製品化:能登ヒバ抽出物を用いた抗菌・抗ウイルス製品の研究・開発が進行中です。北陸大学グループはヒバ油抽出物による抗菌塗料や空間除菌剤を開発し、各種微生物への抑制効果を検証しています。また、県内企業(加賀木材)は能登ヒバ蒸留水を使った除菌スプレーやアロマディフューザー製品を展開し、獣医師や医療機関での導入例も増えています。石川県の調査では、獣医師の約9割が能登ヒバ蒸留水スプレーを「薦めたい」と回答しており、安全性と消臭・除菌効果に期待が寄せられています。
  • 精油の臨床応用:能登ヒバ(和製アスナロ)の精油はがん細胞増殖抑制効果が報告されています。石川県企業と学術研究により、能登ヒバ精油は乳がん細胞の増殖を抑制し、マウス実験でも胃がん細胞の増殖抑制が確認されました。科研費研究でもヒバ油蒸散成分が各種がん細胞にアポトーシスを誘導することが示されており、抗がんアロマセラピーへの応用が期待されています。

健康分野

  • リラクゼーション効果:能登ヒバの香りには鎮静・リラックス効果が期待されています。木材から放散されるフィトンチッド(天然成分)はストレス緩和や心身安定に寄与し、実際にヒバ香のもととなるヒノキ類の香りは集中力向上や不安軽減に役立つと報告されています。ペット医療の現場でも「自然由来の木の香りは飼い主や動物のリラックスにつながる」と約8割の獣医師が回答しており、能登ヒバ香にも同様の癒し効果が期待されます。
  • 睡眠・認知機能:ヒバ香の森林浴的環境は睡眠の質改善にも有用とされ、さらに近年の研究ではヒノキ類精油の吸入が認知機能低下の予防効果を示唆しています。能登ヒバも同様の香気成分を含むため、高齢者の認知症予防などへの活用が検討されています。
  • 製品例:過去の研究では、能登ヒバ油をマイクロカプセル化し寝具や衣類に加工する試作が行われました。ヒバ油入りのシーツや枕カバーは抗菌・芳香性を兼ね備え、摩擦で香りが放散するためリラックス効果も期待されています(抗菌試験はJAFET合格)。今後はホームアロマグッズや入浴剤などへの応用も進んでおり、日常的な健康維持に役立てられています。