株式会社加賀木材 のと里山営業所(志賀町若葉台)

小島さん(左)と大山さん

1本の木を90%以上使う

加賀木材のと里山工場 大山正樹さん、小島遼太郎さんに能登ヒバ材振興の取り組みと、普段のお仕事についてインタビューしました。


――加賀木材さんは金沢に本社がありますが、能登での事業について伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
小島遼太郎
(以下、小島):当社は1900(明治33)年に木材問屋として創業しました。問屋ですから木材を必要な人に届けるというお仕事で、はじめは青森ヒバ、そのあとは輸入材も手掛けるようになったと聞いています。本格的な能登ヒバの取り扱いは10年前からです。この、のと里山工場は不燃木材の「もえんげん®」、能登ヒバ製品の住宅用土台や内装用の羽目を作るために8年前に操業しました。木はもともと生き物であるため、素材として画一的でなく割れや曲がりがあり、製品化した際には幅や長さ調整するため端材が出てきます。特に能登ヒバは殺菌作用があるらしいということが昔から言われていまして、このまま捨ててしまうのはもったいないのではないかと考えていました。そこでNOTOHIBAKARA事業部というのを立ち上げて雑貨などを通じて価値を高めていく事業をはじめました。


大山正樹(以下、大山):加賀木材の経営理念に「山への恩返し」というものがあります。NOTOHIBAKARA事業部も荒れた山をいい山にしていくために1本の木を捨てることなく使い切ろうというコンセプトで進めてきました。


――製品には能登ヒバの葉をつかったものまでありますね。
小島
:能登ヒバの葉は刺身に添えると腐りにくいなどと言われています。素材としてできる限り使っていって、本当に最後まで残る余った部分はウッドチップとしてマルチング材(土壌保護や雑草防止などのために撒く材)にしています。今では木材の90%以上を使っているんですよ。一般的に製材で捨てる部分は木材にしにくい樹皮や葉など外側の部分が多いんですが、この部分をスプレーやオイルに使っています。部位ごとに香りや色が少しずつ違うのでブレンドを繰り返して今の形になりました。時期によっても変わるので製造のたびに調整をしています。能登ヒバは貴重な地元資源ですから、住宅などの建材に使用できない木は、集成材として製品化し、住宅の床材や内装材に製品化しているんですよ。

成分を分析、特別さを伝えたい


――NOTOHIBAKARAブランドだけでなく木材としても能登ヒバをPRされていますが、そもそも能登ヒバの良さとはなんでしょうか
小島
:やっぱり昔からこの場所で使われてきたという歴史だと思います。ご質問のようになぜ能登ヒバが良いのかを探るところが商品開発でも重要なところです。カビや虫に強いというのは有名ですが、どんな成分がどのように作用しているのかあまり考えられてきませんでした。我々は外部機関で試験をやって研究して情報を乗せていって、自信を持っておすすめしています。製造場所にはヒノキチオールがちゃんと商品に含まれているか確かめる、専用の分析機械も揃っているんですよ。


大山:一般的な消臭スプレーにはアルコールが入っていますが、能登ヒバスプレーはアルコール無しなので揮発しにくく、持続的な消臭、殺菌効果が見込めます。他にもインフルエンザなどのウイルスへの効果もしっかり調べました。新型コロナウイルスのときは消毒液の代用品にするお客様もいらっしゃいましたね。


――今後、能登ヒバをどうやって盛り上げていきたいかお考えはありますか
大山
:能登ヒバはやっぱり成長が遅い木で、成木になるのに杉の 2 倍くらい時間がかかる希少なものです。山の更新サイクルに合わせてきれいな山づくりをして、価値を高めることが大事になってきます。特別な木ですよというイメージを伝えていきたいです。育てる人、製材する人、販売する人が一体となる事業を会社として続けていきたいです。まだ知名度は低いかもしれませんが、そこをチャンスと捉えて知ってもらう活動に取り組んでいます。


小島:加賀木材では木を使う、体感してもらうイベントを定期的に開いています。植林をしたり工場見学をしたりしながら、子どもの頃から木に興味を持ってもらいたいと考えています。先日の震災で山を去っていく人も多いと聞きますが、職業選択の一つに林業があがるようになったらうれしいです。


――本日はありがとうございました。