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アテ林業・能登ヒバを活かした能登の創造的復興フォーラム 開催レポート

開催概要

令和7年2月26日(水)、石川県木材産業振興協会と能登森林組合の主催により「アテ林業・能登ヒバを活かした能登の創造的復興フォーラム」が、TKPガーデンシティPREMIUM金沢駅西口(会場・オンライン併用)にて開催されました。翌27日(木)には奥能登地域での現地視察・意見交換会も実施され、森林・林業・木材産業に関わる多様な参加者が集いました

本フォーラムは、令和6年能登半島地震や豪雨災害によって甚大な被害を受けた森林資源と木材産業の現状を共有し、世界農業遺産「能登の里山里海」の再生につながる新たなサプライチェーン構築や「能登ヒバサポーター」募集を目的として開催されました。


プログラムの内容

開会挨拶

石川県木材産業振興協会の通善一洋代表理事および石川県森林管理課の井南哲司課長が登壇。能登林業の歴史的価値と復興に向けた産学官の連携の必要性が強調されました。

基調講演

京都大学の深町加津枝准教授より、「能登のアテ林業」の歴史的・文化的価値と、それを創造的復興につなげる可能性について講演が行われました。林業遺産としての持続性を再確認し、地域資源を未来志向で活かす方向性が示されました。

被災状況の報告

  • 石川県森林管理課(棚部一将氏)
  • 輪島市漆器商工課(細川英邦氏)
  • 能登森林組合(亀井順一郎氏)
  • 九内製材所(坂下聡氏)

以上の登壇者より、山腹崩壊、製材所被害、林道インフラ損壊などの深刻な実情が共有されました。

ブランド創出事例の紹介

  • 「NOTOHIBAKARA」(加賀木材株式会社)
  • 「ATENOTE | 能登ヒバ楽器プロジェクト」(フルタニランバー株式会社)

能登ヒバの新たな用途開発や高付加価値化の取り組みが紹介され、素材の可能性を広げる実践事例が提示されました。

プラットフォーム紹介・サポーター任命式

石川県木材産業振興協会の関軒明宏氏より「創造的復興プラットフォーム」の概要が説明されました。その後、「能登ヒバサポーター」の任命式が行われ、地域再生に向けた意欲的なコメントが発表されました。

閉会挨拶

能登森林組合の亀井順一郎代表理事組合長より、復興の道のりにおける産業界と地域社会の協働の重要性が再確認されました。


交流会

同日夕刻には交流会が開催され、参加者同士のネットワーキングが活発に行われました。今後の共同事業や販路開拓に向けた協議の場ともなりました。


現地視察・意見交換会(2月27日)

翌日は奥能登地域において、森林組合や木材総合センターの視察、アテ林や植林候補地の見学、山腹崩壊被害箇所・製材所の確認が行われました。午後の意見交換会では、サプライヤーや地域団体と共に「持続可能なアテ林業と能登ヒバの高付加価値化」「地域の関係人口創出」について熱い議論が交わされました。


まとめ

本フォーラムを通じて、能登の林業遺産を核とした創造的復興の方向性が示されるとともに、企業・団体・行政・研究者が一体となった取り組みの土台が築かれました。特に「能登ヒバサポーター」の任命を契機として、今後の長期的なバリューチェーン形成と地域循環型経済への期待が高まっています。