ATENOTE(アテノオト)能登ヒバ楽器プロジェクト

能登ヒバ楽器のスタジオ

頑丈だから土台に使われ、腐りにくいから水回りに良い……よく聞く能登ヒバの長所は建築の材料としての使い勝手のこと。しかし普通の人にとって、家を建てるのは一生に一度あるかどうか。木材について知る機会は多くありません。もっと日々の暮らしに身近なところで能登ヒバの魅力を感じるにはどうしたら良いのでしょうか。
調べていくと能登ヒバで楽器を作る「ATENOTE(アテノオト)」という興味深いプロジェクトに行き着きました。日常に欠かせない音楽と能登ヒバの組み合わせが面白く、さっそく主宰者の古谷隆明さんを訪ねてみることにしました。

――さっそくスタジオのようなところに案内されて驚いています。能登ヒバの楽器がたくさんありますね。
古谷隆明
(以下、古谷):はい、ここはスタジオです。みどりの職人を育てることをイメージして「GREEN SMITH studio」と名付けました。ここにアテノオトの楽器を展示しています。いくつか貸出中のものもありますがギター・ベースやウクレレ、三味線やハープ、ドラムセットなどを置いています。


――楽器だけかと思ったらエフェクターやピックまでありますね。
古谷:エフェクターは売られているものは金属製が多いので木製でつくってみました。ピックもプラスチック製が多いですが、木で造ったらどうかと思って作ってみました(笑)

――もう聞きたいものがいっぱい置いてあってそわそわするのですが、まずはプロジェクトについて教えて頂けますか
古谷
:はい。私はフルタニランバー株式会社という木材流通会社の代表をしています。5代目になるのですが、柱のような構造材ではなく、床や壁、家具など目に見えるところの木材の取り扱いが多い会社です。世界中の木材を扱ううちに地元に伝わる能登ヒバの魅力を追求して、地域材を幅広く届けたいという思いが高まりATENOTEがスタートしました。生活に身近なものに活用したいと思って事業を進めています。能登ヒバのあたらしい価値づくりと活性化を行うためのプロジェクトです。


――家具や雑貨もあるなかで楽器に着目したのは、やっぱり音楽が好きだからでしょうか
古谷
:わたしも好きですし、よく考えたら音楽が嫌いな人には会ったことないので、人をつなぐツールとしては最高のものと思っています。そのシンボルに能登ヒバの楽器があったら良いなと。


――それを原動力に新しい取り組みを行っているのですね。
古谷
:そうですね。それに楽器メーカーさんも積極的に協力いただいていることが大きいです。ちょうどコロナ禍のウッドショックや良材の枯渇で、楽器用の木材も不足しているんです。それで皆さまに「チャレンジしたい」と言って頂けています。今では定番商品としてカタログに載るようになったものもありますし、自社のエレキギターとして全国展開してくださっているメーカーもあります。


――ミュージシャンとのつながりも増えているようですね!
古谷
:このプロジェクトでは楽器メーカーに材料を売るだけではなく、全サプライチェーンのみなさまと関わることを大事にしています。そこでミュージシャンの皆様とも御縁が出来てきました。とくに2023年にミス日本みどりの大使に選ばれたシンガーソングライターの上村さや香さんが、能登ヒバを活用したギターを愛用してくださっています。上村さんは能登ヒバアンバサダーとしても活躍されています。その後、音楽に関わるいろんな業種の人と出会いましたし、メディアの露出も増えていきました。

こんな使い道あったんだ、をPR

――やっぱり能登ヒバの楽器が選ばれるのはいい音がするからというところもあるのでしょうか。
古谷
:いろんな木材があるのでどういう音とか、お話するのは難しいので、手にとって能登ヒバのサウンドを体感頂きたいです。島村楽器の金沢フォーラス店では能登ヒバの魅力を感じながら試奏できるブースを造りました。また販売店からは、能登ヒバの楽器が選ばれるときには、見た目や音質だけでなく素材のストーリーが購入の決め手になっていると聞きました。


――あたらしい商品の売り方にも繋がっているんですね。今後はどのように展開していきますか。
古谷
:能登ヒバの知名度をあげていきたいですね。日本にはたくさんのブランド材がありますが、その地域材を肩を並べるくらいに。木材は建築材に使われることが多いですが、こんな使い道もあったんだ!っていうのを他の地域材と連携してPRを続けていきたいです。

――ありがとうございました。