株式会社アシストエリア(金沢市泉本町)

里山里海、無駄にしない

能登ヒバを活かした雑貨を企画・販売している株式会社アシストエリアの野村英史さんにお話をうかがいました。

――さっそくテーブルの上には能登ヒバの消臭剤、入浴剤などの商品を並べていただきました。改めてどのような取り組みか教えてください。
野村英史(以下、野村):はい、能登ヒバを使ったアロマウォーター「ATTE(アッテ)」を皮切りに、今は自然環境を考える商品企画を進めています。県産のユズや塩、棒茶などを活用して、資源を有効に使っていきたいという思想が根っこにありますね。

――地元の素材を使った商品はたくさんありますが、ATTEはとてもデザインにもこだわっている感じがあります。
野村:私は金沢で育ちで東京で広告代理店でイベントの企画やコピーライト、デザインなど様々な経験をしました。その後は金融機関を経て、金沢で保険代理店として独立しました。都市部で暮らしているときに漠然と、環境問題に取り組むような事業をやりたいなあと構想していたのですが、直接のきっかけは、金沢の自宅で妻がアロマ・ネイルサロンを始めたことです。地元の産品を活用することで補助金が受けられるということを調べ、そこで消臭効果のある能登ヒバを改めて知りました。森林組合や大学、関係する企業などにもつながっていきATTEの開発に繋がりました。

――デザインを仕事にされていたのですね。環境を考える製品ということですが、材料にもこだわりがあるんでしょうか
野村
:里山里海の資源を無駄にしない、SDGsを目指す商品開発を掲げています。能登森林組合や製材所に協力を頂いて、間伐材のモルダーチップから能登ヒバウォーターを作りました。材木として売れずに捨てる部分の有効活用です。今商品化している素材も捨てられたり、製造の都合でこぼれたりするものを使っています。特にこのチップを粉にして紙に巻き込んだ消臭剤「アッテ・シュシュ」はデザインにもこだわっています。

誇りを持って企画、生産者に還元

――お土産としても人気になったそうですね。金沢名所の徽軫灯籠(ことじとうろう)や白山を登るクライマーなどデザインが特徴的です
野村
:コンセプトを7割くらい固めてからデザイナーとやり取りをしています。木の特徴が重要な商品なのでアンケート調査なども行いましたね。実は木の香りというのは化粧品ではあまり少なくて、手につけることで抵抗がある人も多いことに気付かされました。そこで手から足に視点を移して商品化を見直し、靴の中に差し込める形にしたんです。パッケージを作るときは、どのデザインが良いかのマーケティング調査もするようにしています。ちゃんと準備をしていくことが大事だと思っています。

――視点の移動、面白いです。いろいろな原料を扱う中で能登ヒバというのはどういう存在でしょうか
野村
:ATTEというブランド名は第一弾の商品である能登ヒバの別名であるアテと、実際に「会って」確かめてほしいという意味も込めています。やはり石川県の木ですからシンボル的な存在です。誇りを持って売っていきたいなという気持ちはあります。


――現在の課題や、今後の展望などはありますか
野村:能登ヒバの認知向上につなげたいと思っていますが、木材を使った雑貨を売ることだけでは限界があるだろうなというのは感じ始めています。香りと合わせたストーリーも伝えていきたいと思っています。以前のイベントでは室内に本物の土や葉、木材を持ち込んで森をつくってしまう企画をやりました。今私もいろんな方に協力してもらわなくては何も作れない立場ですから、どうやって生産者に還元していくかという道筋をこれからも考えていきたいです。

――ありがとうございました。